映画 俳句 さらば、わが愛/ 覇王別姫

人でなく 蝶と生まれ 蝶としぬ

 

生き方を選択出来る人ではなく、蝶として生まれたが故、蛹の時に叩かれて、美しくも歪んだ羽を持つに到り、時代に周囲に蝶で有る事を望まれて、人の愛を求めるも、蝶に自由など無く、蝶としての生しか許されず。

 

◾︎レビュー
冒頭から目を覆いたくなるような悲惨さ、展開される過酷な訓練。
思わず可哀想だとか、今なら問題になる表現かもしれない、等と緩い考えが過ってしまいましたが、
それは自分が無菌室化された現代に照らし合わせてしまうからなのでしょう。

 

そうではなく、有った事、有ったかもしれなかった事、当時の時代背景に真摯に寄り添い、階級や出生、社会に縛られて自分で生き方を選べない人々の生き様、
思わず可哀想、酷いと言ってしまいそうになる状況下でも、
生きるために捨て、生きるために教え、生きるために修行し、生きるために演じる姿を描き出しています。


そこには他人の庇護は無く、他人の評価を必要としない、評価を差し込む隙の無い、生きるための生、圧倒的な生が有りました。

 

◾︎余談
観た事が無いという方で、いつかは観たいと思っている方は是非。美しい #レスリーチャン を目当てに、または歴史ロマンがお好きなら尚良いかもしれません。

 

自分は三国志銀河英雄伝説でもそうなのですが、個人的最盛期以後の衰退期を観るのが辛い人間なので、
映画の途中、何度も、もういいんじゃない?そろそろ終わっても?あとはモノローグで良いのでは?とハラハラしていました。


そんな風に勝手にディレクターズカットしたくなるくらい時代は残酷で、世界は滑稽で、人生は美しいのだと、覇王別姫は教えてくれたように思います。

 

個人的ベストカップルは、菊仙と蝶衣。恋愛漫画脳的にたまらない関係性でした。

 

さらば、わが愛/ #覇王別姫 #レスリーチャン #俳句